やっとあったかくなってきましたね。(・・っつーか、もう桜が咲いてるって)いなだの家はボロ家でとても寒く、春が来るのを首を長くして待っておりました。さて、今回のゲストはリトグラフを中心に版画を描く橋本尚美さんです。尚美ちゃん(私はそう呼んでいる)も大学の同期ですが、学生の頃より卒業してからのほうが仲良くなったかも。(2002年3月) |
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いなだ:最初っからぶしつけな質問だと思うけど、なんでイタリアが好きなの?
橋本:大学のツアーでヨーロッパに行くっていうのがあったでしょ? それに参加してヨーロッパを回って、なんとなくイタリアが気に入ったのよね。卒業してからはお勤めしてて、OLだし何か習い事をしようかなと思って(笑)イタリア語を始めた。イタリアは食べ物もおいしいしね。
いなだ:今まで何回行ったの?
橋本:そんなに何度も行ったわけじゃないのよ。え~と・・、4回かな。
いなだ:影響を受けたアーティストは?
橋本:え? え~と・・、あー、そういうこと考えて来るべきだったのよねー。
いなだ:思いつかないってことは、いないってことよね。
橋本:う~ん、この人っていうのはないけど、何かをずぅ~っと限りなく追求している人が好きなんだなぁ。
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いなだ:カレン・クンクさんのフィレンツェでのワークショップに参加したきっかけは?
橋本:単純に「イタリアにも版画工房があるのか?」って思って、・・そりゃあるに決まってるんだけどさ、たまたまネットで調べた貸し工房が「予約のため貸し出しできません」になっていて、それがそのワークショップだったわけ。カレン・クンクさんってアメリカ人なんだけど、作品だけは知っててすごく好きだったのね、ちょうどイタリアに行きたかったし、詳細を問い合わせてそのままズルズルと・・(笑)。
いなだ:それはどのくらいの期間?
橋本:全部で1ヶ月、フィレンツェには3週間くらい。あっちこっち美術館を見て回ったり、忙しかったけど、じっくり見ることもできたし、なかなか充実した旅行だった。
いなだ:カレン・クンクさんからリダクション・プリントを教わったって聞いたけど、リダクション・プリントの面白さは? |
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橋本:版を彫り進めて元に戻れないってことかな。10枚つくるなら10枚刷って、また彫って、また刷って・・、で、版を彫りながら刷り重ねていくんだけど、10枚なら10枚で終わり。どんどん彫っちゃうわけだから、二度と元には戻れないでしょ?
いなだ:黄色って好きだよね? 色に関するこだわりは?
橋本:色があるのが好きっていうことなの。服でも色柄ものが好き。色があるほうが、生命の躍動っていうか・・を感じる気がする。色が明るいからか、私の絵を見た人は「ほんわかしたあったかい気分になる」って言ってくれるけど、本当は・・、私自身がイメージしているものは、そんなに明るい世界だけじゃないんだけど、でも、暗くもない。
いなだ:作品を作る時に、何を最初に考えるの? |
橋本:スケッチに時間をかけるなぁ。自分の中の世界観やイメージ、たとえば友だちと話をしながら、ふと思った印象を描きたいと思った時、それがちゃんと表現できているか・・を考えながら。それに、絵の中のリズム感も大事だと思う。ただ、抽象にはしたくないのよね。う~ん・・、言葉にするのは難しいけど、見た人に何かを示唆するような絵にできたらいいかな。
いなだ:尚美ちゃんのHPを見ると、絵のモチーフに「チューブのようなもの」ってあるけど、尚美ちゃんの言う「チューブ」って何?
橋本:昔の神話とか宗教画みたいに、考え方をシンボル化して表現しているもので、仏像の図像なら蓮の花の茎の中を通って、悟りを開くと花が咲く・・、みたいなこと。自分の成長じゃないけど、その今いるところ、心のなかの何処にいて何処にいくのか、みたいなものを象徴してるつもりなんだけど。 |
いなだ:・・・?????。よくわかんないけど・・・まぁいいや。尚美ちゃんはイラストのお仕事もしてるけど、作家とイラストレーターの違いは?
橋本:特にはないなー。版画は自分の思った通りにやればいいけど、イラストのお仕事だと「こういうものを描いて下さい」って制約があるわよね。その制約の中で自分らしい絵を描けたらいいなと思う。 |
いなだ:最近、面白かった本はある?
橋本:ん~、最近はイタリア語の本を読んでいて、読書というよりお勉強よね。何でも世界観のあるものが好きだけど。村上春樹の短編集などをなぜかイタリア語で読んでいます。
いなだ:今もプールに通ってるの?
橋本:うん。週1、2回は。
いなだ:泳ぐのが好き?
橋本:泳ぐのが好きっていうことと、運動のため。
いなだ:今後の活動の予定は?
橋本:11月にガレリア・グラフィカbisで個展をやる予定。 |
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いなだ:将来、やってみたいことは?
橋本:とにかく、考えるのが好きなのよね。自分の置かれている状況とか、ネチネチと考えて、考えがまとまらないんだけど、まとまらない状況も表現したい。考え続けることで、自分がどんな作品を作るのかを見ていきたいな。
いなだ:ふ~ん、ある意味で、尚美ちゃんといなだは対極にあるわけね。考える人と考えない人(笑)。いなだはけっこう飽きっぽいし。尚美ちゃんはぜひとも本を出版してね! さ、飯でも食いに行こ。 |
1965年 |
東京生まれ 高校でリトグラフを始める。 |
1987年 |
多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業 大学でグラフィック・デザインとリトグラフを学んだ後、ヘッドバット、CBSソニー(現ソニー・ミュージック・エンタテインメント)、東芝EMIにてグラフィック・デザイナーとして勤務。退職後、版画制作活動を再開。 |
1999年 |
イタリアでUnivercity of Nebraska-Lincoln "Printmaking
in Florence"参加をきっかけにリトグラフだけでなく木版画もはじめる。国内及び海外での展覧会多数。詳しくはHPで。 |
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